初めてのシーバス

ueda

2011年07月08日 00:24

前回の記事「セイゴ釣り」の続きです。

そんな感じで、セイゴという魚は小学生時分から馴染みのある魚でした。

中学に入るまではほぼエサ釣りしかやっていませんでしたが、ご多分に漏れず中学に入ると釣りの興味はルアー釣りにシフトしていきます。

まず始めたのが今でも好きなブラックバス釣り。
初めてのブラックバスは琵琶湖で釣りました。

"食べられない魚に興味はない"父親はバス釣りには本当に興味を示さず、バス釣りにはルアー釣りもやっていた叔父さんに連れていってもらっていました。
(叔父さんは結果的に全部のリールがヴィンテージになってしまうくらいの古くからのABUフリークです)

かといって父親と釣りに行かなくなったわけではなく、祖父、父親、叔父さんと僕の4人で若狭湾にエサ釣りに行っていました。
行く場所はほぼ固定されていましたが、狙う魚は季節によってマチマチ。

季節によって、キスだったり根魚だったりハゼだったりワカサギだったり…今思うとしっかりと旬を追っていたんだと思います。

そんな季節に準じた釣りをしつつも夜釣りは決まってセイゴを狙っていました。
前の記事にも書きましたが、昼間はハゼくらいしかいないような浅瀬にも夜はセイゴをはじめとした色々な魚が補食のために入ってきていました。

掛かったあとに糸鳴りをさせたり、豪快なテイルウォークをしてくれるセイゴはとてもエキサイティングなターゲットに映っていました。


そんな僕ですが、バス釣りにのめり込むと同時に釣り雑誌も読むようになりました。
主に読んでいたのは「タックルボックス」と「Fish On」の2つです。
安価なTB誌はお小遣いで購入し、Fish Onは図書館で読んでいました。

ルアー釣りがメインな2誌ですが、対象魚はブラックバスだけではありません。


時々紙面に掲載されるシーバスに興味を持ち始め、ある日若狭湾の釣りにバスタックルを持ち込みました。

僕はシーバスとの挑戦の場を夜釣りに置いていました。
いつもエサ釣りでセイゴが釣れてくれるので、サイズを選ばなければ簡単に釣れるだろうと。

しかし中二の小僧はルアーロストが恐ろしくてオープンエリアにしかキャストできません。
ある程度お金が自由になる今の年齢の僕には2,000円のお小遣いで買った1,000円のルアーをなくしたときのショックを文字で表現することができません。

キャストテクも思い切りのよさもなかったこともあり、朝を迎えるまでにシーバスは僕のルアーを食ってくれませんでした。
夜が明けたあとは延べ竿でハゼ釣り、冬を越した大きなヒネハゼを追って田んぼの水路まで釣り上がったりした記憶があります。

そして日が傾くと雨が降り始めました。
昼間にハゼが入れ食いだったせいで家族は夕方に仮眠をとっています。

僕は行きの車中でしっかり寝たからか全く眠たくありません。
そして雑誌で得た知識も僕を睡魔から引き離したのかもしれません。

「雨が降ると魚の警戒心が薄れる」
「水面を叩く雨が水中に酸素を送り込み魚の活性が上がる」


この2つがこのときの覚えたての知識でした。


雨で僕の活性も上がり、一人で雨の中を釣りに向かいます。
しかし携帯電話もないこの時代に中学生が一人で遠くまで行くこともできないので、駐車場の周りで釣れそうなポイントを探します。

釣れそうなポイントといっても、このときはまだルアーで1匹も釣ったことがないのでどこが釣れるのか全くわかりません。

周囲を歩いていると港の横に建ったばかりの集合住宅があり、そこの裏手に小規模の排水溝がいくつもあり、そこから水が勢いよく流れ出していました。
排水溝の流れ出しならタイトにキャストしてもルアーをロストする心配もありません。

そこへ岸と平行にラパラのCD-7をキャストしていきます。



▲B.B.



▲66L


タックルはジャクソンのB.B.にダイワのプロキャスター705H(品番はうろ覚え)

ロッドはB.B.ボロンが欲しかったのですが、高くて買えませんでした。
当時はボロンという響きがメチャクチャ格好よく感じました。

リールはラインをピックアップするときにベールまで一緒に返すことのできるオートキャスト機構が付いていたものです。
インフィニットアンチリバースの逆をいく機構でしたが、プラグを使う分には便利な機能でした。
これにソラローム2ウルトラの2号を巻いていたと思います。

そんなタックルで水色と白のツートンのラパラを投げていくと割と早いうちにヒットしました。

かなり足下近くのヒットでした。
水の色が茶色になっていた記憶があるので、人間に対する警戒心が薄れていたのだと思います。


しかしこの魚はジャンプ一発でバレてしましました。
使っていたラインはナイロンでしたし、アワセもちゃんと入れられていなかったはずなので、バレて当たり前だったのかもしれません。
それにフックも銅色のラパラ純正のままだったと思います。


魚はバレてしまいましたが、僕の興奮はMAXです。
心臓が鼓動を打っているのがわかるくらいのドキドキでした。

興奮しすぎて釣れてもいないのにクルマにダッシュで戻ってみんなを起こして報告。
起こされて不機嫌だったのか、「釣れてから言え」とじいちゃんに一喝されたのを覚えています

魚を手にすることができなかったものの魚が釣れることはわかったので、先ほどと同じポイントを同じように狙っていてもさっきとは自信が全く違います。


「次のキャストで釣れるかも」とドキドキしながら、でも確信を持ちながらキャストを繰り返していると30cm強のシーバスが釣れてくれました。
慎重かつ強引にやりとりして、バラしたくない一心で最後は豪快にぶっこ抜き(笑)

今度もダッシュでクルマまで戻り、従順な猫のように家族に報告しました。


帰りのクルマでクーラーの中で暴れるシーバスの音を聞いて誇らしげになった記憶があります。

今考えるとその場で絞めた方が絶対に美味しいと思うのですが、自宅に帰って食べたシーバスはメチャクチャ美味しかったはずです。


写真を撮って記録を残しておけばよかったな〜と思いますが、21年前のことをこれだけ鮮明に覚えているのであれば記憶だけで辿るのもいいものです。

こんなに興奮するような魚に今後も出会うことができるでしょうか。

この先の釣り人生にもまだまだ楽しみがいっぱいあります。
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